熱帯地域で単一作物の栽培を行う大規模農園

プランテーションとは、熱帯・亜熱帯地域で単一作物の栽培を行う大規模農園のことです。栽培する作物としては、古くから代表的なものとしてサトウキビ、バナナ、カカオ、コーヒー、茶、天然ゴム、綿などが、また、近年ではパーム油の原料となるアブラヤシや紙パルプ原料としてのアカシア、ユーカリなどがあります。

プランテーションの特徴は、熱帯・亜熱帯の気候と生産性の高さを活かして、広大な農地に大量の資本を投下し、安価な労働力を用いて換金作物を集約的に生産することであり、土地と労働力の確保、国際市場へのアクセスなどが必要となります。プランテーション型の農園経営は、植民地時代に効率的な生産を進めるために西欧諸国から持ち込まれました。つまり帝国主義下での奴隷労働や土地収奪と深く結びついた経営手法と言えます。現代では東南アジアの植民地は独立し、奴隷制もありませんが、プランテーション型経営は資本力を持つ民間企業や政府系開発機関を中心的な担い手として今も続いており、途上国経済を支える主要産業として政府によっても保護・推進されています。

プランテーションは輸出向け作物を低コストで大量生産することで、生産国の経済を支えるという一面を持っています。しかし、生産地では大規模な土地転換による森林減少や、単一作物の大規模栽培のための農薬・化学肥料使用に伴う水質汚染、土壌侵食などの環境問題、さらには多国籍企業等への土地の集中、自作農の減少や小作農・土地なし農民の増加、移住労働者等の労働問題など、様々な問題を生み出しています。

熱帯プランテーションと私たちの暮らし

プランテーションで生産されるバナナ、コーヒー、紅茶、カカオ(チョコレート)などは、私たち日本人の暮らしに当たり前のように存在する身近な食品です。他にも天然ゴムやパーム油、紙のように、普段あまり意識していない熱帯のプランテーションの産物も日常品の原料として広く利用されていますが、これらの多くは日本の気候では生産することができず、その生産現場を日本人が目にする機会は非常に限られています。

熱帯プランテーションは、熱帯林減少をはじめ様々な環境・社会的問題をはらみつつ、私たちの暮らしを支える重要な原料を大量に提供してきました。当ホームページでは近年、東南アジアにおいて生産量が急増し、熱帯林の減少の要因として指摘されているパーム油と紙を中心に、生産現場で起きている問題についてご紹介します。