
世界の森林が失われ続けている?
日本との関係は?
どうして森林破壊が起こっているの?
私たちに何ができる?
世界の森林が失われ続けている?
日本との関係は?
どうして森林破壊が起こっているの?
私たちに何ができる?
目次
1.減少を続ける世界の森林
現在、世界の森林面積は約40億ヘクタールあり、陸地面積の三分の一が森林に覆われています。森林の種類別では熱帯林がもっとも多く45%を占めており、寒帯林(27%)、温帯林(17%)、亜熱帯林(11%)が後に続きます。世界の森林は減少を続けており、その面積は毎年約1,000万ヘクタール(北海道の約1.2 倍の面積)にのぼるとされています。森林が失われている国は熱帯地域に集中(約9割)しており、国別では、ブラジル・コンゴ・ボリビア・インドネシアなどでの減少が目立ちます。
森林減少が最も進んでいる8カ国
出典:国連食糧農業機関(FAO), 世界の森林資源評価


2.なぜ熱帯林が重要なのか
熱帯林は生物多様性の宝庫
熱帯林の面積は陸地面積のわずか12%に過ぎませんが、地球上の生物の約半数が生息しています。
ボルネオの熱帯林1ヘクタールあたりに生育している木の種類は約400 種類で、ヨーロッパ全土よりも多いとも言われています。熱帯林はいずれも固有種が多く生息する貴重な生態系です。一度絶滅した固有種は、二度とこの世界に戻ることはありません。
また、世界中で使われている薬の原料の多くを生み出すなど、人類全体にとっても極めて重要な「生物多様性の宝庫」です。

2015 年の国連サミットで採択された持続可能な
開発目標(SDGs) において、
「15. 陸の豊かさも守ろう」 という森林に関連する
15.2の目標として以下が掲げられています。
気候変動の鍵を握る泥炭地
アブラヤシ農園のために開発された泥炭地
アブラヤシ農園のために開発された泥炭地
人々の暮らしを支える熱帯林
熱帯林がある国々では、多くの人々が森からの恵みを得て生活を送っています。住宅を建てるための木材や、生活に欠かせない食料や水などは森がすべて与えてくれます。
マレーシア・ボルネオ島の先住民族であるプナン人のように、
狩猟・採集をしながら森で暮らす人々にとって、森はスーパーマーケットのような存在なのです。

森林の定義の「実は」
FAO( 国連食糧農業機関)では、
以下のように森林が定義されています。
紙パルプ用植林地やゴムのプランテーションは農地ではなく、上記の条件を満たせば森林として扱われます。 つまり、FAO の定義では植林地を造成するために天然林を伐採しても、森林減少にはカウントされません。これに対して、複数のNGO によるアカウンタビリティ・フレームワーク・イニシアティブ(AFi)の定義では、紙パルプ用植林地やゴムのプランテーションも森林減少にカウントするとしています。

3.森林破壊の要因は?
森林が減少する原因は国や地域によってさまざまですが、主に家畜の放牧地であったり、大豆やパーム油(アブラヤシ)などの作物を生産するために森林を切り開いて農地にすることが原因です。





焼畑は原因の一つ?
伝統的な焼畑は森林破壊の原因ではありません。焼畑とは、森林や草地を焼き払うことで得られた灰を肥料として農作物を栽培する伝統的な農法です。地力が落ちると別の場所で焼畑を行い、休耕期間を経てまた元の土地に戻るという循環的な農業です。しかし、人口の増加にともないより多くの農作物を生産するため、自然のサイクルを無視した非持続可能な農業が行われることで、森林破壊や生態系の破壊につながっている現実があります。そのため、「伝統的な焼畑」と「非伝統的な火入れ」は区別しなければなりません。

4.日本との関わり
日本の熱帯材輸入の歴史
日本はこれまで東南アジアでの森林減少に加担してきた歴史があります。1960 年代から1990年代にかけて、日本国内での木材需要の急増に対応するため、フィリピンやマレーシア、インドネシアなどから大量に輸入したことが要因です。輸入された熱帯材は、主に建築向けの合板やコンクリート型枠として使われていました。当時、日本は世界最大の熱帯材の輸入国であり、世界の熱帯材輸入量の約半数を占めていました。過剰な木材需要が、現地での熱帯林減少や生態系の破壊の大きな要因となりました。現在も、イラストのような熱帯林の減少につながる産品を輸入しています。
日本に輸入される森林破壊を引き起こしている商品
お金の流れを通じたつながり
また、日本の金融機関によるプランテーション開発企業への投融資や資金提供などお金の流れを通じて、パーム油、木材・紙製品、大豆、牛肉などの生産との関わりを持っています。その中でも特に、日本の金融機関は「パーム油」と「紙パルプ」に関連する企業に多くの資金を提供しています。ある調査によれば、2018 年から2024 年までのこれらの熱帯林の破壊を引き起こす可能性のある産品に関連する企業への資金提供額が大きい金融機関の上位20 社のうち、日本の金融機関3社が含まれています。資金提供することで、間接的に森林減少に加担している可能性があります。
バイオマス発電が
森林を破壊する?

近年、バイオマス発電用の木質ペレットの輸入が急増しています。日本は主にベトナムやカナダから輸入しており2012年には7 万トンであったものが2021 年には311 万トンにまで増加しました。化石燃料への依存を減らし、環境負荷の低い再生可能エネルギーを促進するために、固定価格買取制度(FIT)という補助金を導入しました。しかし、燃料のほとんどは輸入バイオマスが占めており、生産地では木質ペレットを生産するために貴重な天然林が伐採されています。


5.森林保全に向けた世界のトレンド
EU(欧州連合)の取り組み
EU では、2026 年12 月から「EUDR(EU 森林破壊防止規則)」という規制が施行される予定です。この規制は、パーム油、木材、カカオ、牛肉、大豆、ゴム、コーヒーといった森林減少の主な要因となる7 つの産品を対象としています。EU 域内にこれらを最初に持ち込む事業者に対し、森林減少を引き起こしていないことの確認が義務付けられています。
EUDR の対象となる7 つの森林リスク産品

日本の取り組み
日本の民間企業による取り組み
認証制度とは
認証制度は、第三者機関が環境や人権の基準を満たしていることを証明する仕組みです。木材ではFSC(森林管理協議会)やPEFC(森林認証制度相互承認プログラム)、パーム油ではRSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)があり、認証ごとに基準や監査体制が異なります。そのため、認証があっても問題がないとは限りません。環境配慮を宣伝しながら、実際には森林破壊に加担するような「グリーンウォッシュ」の事例もあります。

6.いま、私たちにできることは?
世界の森林減少を食い止めるため、私たちに何ができるでしょうか?
まずは、世界の森林を取り巻く状況を深く理解することが重要です。
私たちの生活は森林と深く結びついています。スナック菓子、カップ麺、パン、洗剤などのパーム油製品、チョコレートなどのカカオ製品、トイレットペーパーやコピー用紙などの紙製品、フローリングなどの木材製品、木質ペレットを燃料とする電気は、森林減少を引き起こしている可能性があります。まずは、どの商品が森林減少に関与しているかを知り、意識的に商品や企業を選ぶことが大切です。さらに、環境に配慮していない企業に改善を働きかけることが効果的です。
プランテーション・ウォッチでは、現地で起きている問題について調査・情報発信を行ったり、NGO の視点から日本企業の取り組み状況を評価したりしています。私たちが作成した以下のウェブサイトなどを参考に、情報収集をして商品を選んでみましょう。
プランテーション・ウォッチの取り組み
私たちプランテーション・ウォッチは、パーム油、カカオ、紙、バイオマス燃料向けの木材などを生産するためのプランテーション開発にみられる主に東南アジア諸国での環境・社会問題の改善に向けた取り組みを推進しています。
日本のパーム油企業に対して、環境・社会問題への取り組み状況を把握するためのアンケート調査を行っています。企業ごとの回答の有無やNDPE 方針の採用状況などについて公開しています。お気に入りの商品を作っている企業の取り組みをチェックしてみましょう。


