紙・パルプに関する基本情報
紙や板紙は、木材チップをパルプに加工して、これに古紙を混ぜ合わせることで製造されます。製造する紙の種類により針葉樹と広葉樹が使い分けられます。繊維が長くしなやかな針葉樹は、主に段ボールを含む板紙といった強度の必要な紙の原料となります。コピー用紙を含む印刷・情報用紙には、繊維が細く短い広葉樹が主な原料となります。これらの広葉樹は主に熱帯・亜熱帯地域のプランテーションから生産されています。
紙の原料はどこから?
紙の製造工程
日本国内や海外から輸入される木材チップからまずパルプが作られます。このパルプに紙の種類に応じて古紙(リサイクルされた紙)を混ぜ合わせ、紙や板紙(紙の中でも段ボール原紙などの厚いもの)ができあがります。これ以外に、海外ですでに紙製品に加工され、日本に輸入されるものもあります。
プランテーションでは、効率的に木材を生産するために一般的に数千から数万ヘクタールに及ぶ広大な土地にユーカリやアカシアなどの早生広葉樹が植林され、一般的に5~15年の早い周期で伐採されます。
大規模なプランテーション開発は、1960年代から主に熱帯・亜熱帯地域の国々で始められ、1965年から1980年の間に熱帯地域におけるプランテーションの面積はおよそ3倍に増え、1980年から1990年の間はさらに加速し、およそ2~3倍拡大したとされています。
このようなプランテーションは一見すると森林のようですが、生物の多様性を維持し、人々に文化的・精神的な価値をもたらしてくれる森林とは大きく異なります。世界食糧農業機関(FAO)による森林の定義では、森林の存在と深い繋がりを持つ多様な生態系や人々に関する記述が無く、樹木だけに焦点が当てられています。そのため、開発にともなう森林破壊や生態系の破壊、土地の収奪などさまざまな問題を孕んでいるプランテーションも森林として見なされているのです。1993年に森林を取り巻く問題を改善させるために森林管理協議会(FSC)が設立されました。ただし、FSCの設立以降に造成されたプランテーションについては認証の対象から外されています。